黒いジャージ ~先生と私~


「お前、さっき空見てたな。何、考えてたんだ?」

私は、真横にいる先生の顔を見ることができず、さっきのように空を見上げた。

「空に、大好きな人がいるの。おじいちゃん。私のことわかってくれるたったひとりの人」

ふんわり浮かぶ雲を見ていると、おじいちゃんのくしゃくしゃの笑顔が浮かぶ。

「そうか、おじいちゃんか。大好きなんだな。おじいちゃんのこと」

「はい、大好きでした」

「大好きでした、じゃない。過去形じゃなく、今もこれからもずっと好きなんだよ。ここにいなくても、空からお前のことを見てくれてる。だから、今もお前を支えてくれてるんだよ」


過去形じゃなく、今もこれからも。

本当だ。

もうすぐ1年経つのに、私は毎日おじいちゃんのことを考えているし、おじいちゃんならなんて言うかな?ってその言葉を想像していた。


「そっか、じゃあ、いなくなったわけじゃないんだ」


そう思ったら、涙が溢れそうになったけど、必死に我慢する。

先生に涙なんて見られたくない。