《蛍人side》









「おー!じゃー先行っててー!」


「おけー!」



俺が返事をすると、友達は帰っていった。


準備係で当日までは仕事がないんだけど、それまでの複数回にわたる濃密な確認が大変。





今日も結構遅くまでやってたなぁ……。


気づいたらもう午後4時50分。


完全下校は5時半で、それまでは時間があるけど、今までの作業を思い返すとかなりの時間やっている。




もうこのあとの仕事は終わり。


……もー、やっと帰れる。くったくた。





荷物は持っていくのが面倒で、教室に置きっぱなし。


早く取り入って、早く帰ろ。


さっき走って乱れた息を整え、ゆっくり向かう。






……ふー。ついた。



────あれ?






せっけんの香りがただよってる。気のせい……?


教室の前に来た途端、怪しい人影がいることに気づいた。


窓のとこのカーテンで、なにかもぞもぞ動いて……。





「……そこで何やってんの?」


誰だかわからなくて、声をかけた。