《蛍人side》








冬の朝。



冷えきった空気を切り裂いて、生徒達の声がこだまする。



「おはよー!」


「はよ」





「永澤ぁー、おっす!」


「おう」





吹っ掛けられる挨拶を軽く流して、教室へと向かう。






────月乃に会いたいような、会いたくないような。


そんな複雑な気持ち。





「なぁ、どーしたの?お前、最近元気なくね?」




突然、坊主頭の野球部の友達が話しかけてくる。



え、いつからそこに……。全然気づかなかった。



あ、さっき挨拶してくれた時からか。




「……そう?」


「うん。なんかズーンって沈んでる」




……心当たりないこともない。


けど、俺的には結構明るくしてたつもりなんだけどなぁ……。



友達ってすげぇ。