《蛍人side》








────月乃がいない。




そんなことに気づいたのは、今日の朝。

自分の部屋の一室で。



メールをしても、全く返ってこなかった。




まぁ、束縛はしたくないからしつこくしなかったけど。でも結構軽く傷ついた。




だって不安じゃん。




こんなに大事にしようと思ったのは月乃が初めてだったから。



いつ嫌われてもおかしくない。違う男に目移りしてるのかもしれない。



そう考えると気が気じゃない。




ダブルデートの時だって……兄貴と……そう、奏人と一緒にいた。

心臓が止まるかと思ったんだ。


あんな感覚は初めてで。




だから、些細なことにでも敏感になってしまう。


────月乃のことだけは特に。