「月乃が足りない」 うつ伏せになっていた顔を私の方へ向けると、じっと見つめてきた。 「……え?」 私……? 「ずっと勉強ばっかり。月乃と2人きりってゆーから頑張ったし我慢してたけど……もー無理」 永澤くんは、眉毛をちょっと下げて、切なそうな、困ったような表情で。 「月乃、こっち来て……?」 手でポンポンと隣を叩いた。 ……ドキンッ──── あぁ、もう。 そんな訴えるような目、しないで……。 自然と心臓が速くなった。