「だーめ。ちゃんと目見て。こっち見てお礼言って?」



「ふえぇ……っ?!」




ま、まさか、これが俗に言うSというものですか……。




「えぇ、えっと……それは、ちょっ、と、困り、ます……」





あーもー。こっち見ないで。かっこよすぎ。


目なんか合わせられるわけないよ。



「ふぅん?じゃーずっとこのままだよ?」



……にやっと笑う永澤くん。




「そ、それも辛い、かな」


「なんで目……合わせてくんねーの?俺、嫌われてる……?」




顔は見えないけど、悲しそうな声。



…………え?



それは違うよ!



「あの、それは違うっ!嫌ってなんかっ……」



ガバッと顔を上げると、そこには至近距離にいる永澤くんがいた。





「……やっとこっち向いてくれた」




そう言っていたずらっぽい顔をする。




……うぁ、まんまとのせられたよ。


てか、そんなことよりこの距離がやばい。


心臓はさっきからなりっぱなし。


汗がにじんできちゃった。



私の顔、ゆでダコみたいに真っ赤なんだろーな。


恥ずかしいよぉー……!