遥か~新選組桜華伝~



殺すことに、少しのためらいもなかった。


ううん。


あなたを守るためなら、何も怖くなかった。


「全部全部、自分の意志でやったんです。

遥空の言うとおり、私はただの化け物……。

だからもう、離してください」


早口でつなげた言葉。


ごめんなさい、沖田さん。


助けてくれたのに、いっぱい優しくしてくれたのに、冷たくして。


涙を必死にこらえて、うつむいた。


「……」


沖田さんは何も答えず、私を離そうともしない。


沖田さん……?


「お願い。
もう、離し……」


「───離しませんよ」


沖田さんは私の両腕を掴むと、グッと自分のほうに引き寄せて。


おでこがくっつくくらいに顔を近づけてくる。


「……っ」


ドクンと胸が高鳴った、刹那。


「離すわけないじゃないですか……」


弱々しい声で言う彼の瞳には、涙が浮かんでいた。