遥か~新選組桜華伝~



ふわりと薫る彼の匂いに、胸がトクンと鳴る。


沖田さん……。


抱きしめる手が優しくて、泣いちゃいそうになる。


助けにきてくれて嬉しかった。


また会えて嬉しかった。


″遥さん″って呼んでくれて嬉しかった。


ほんとはすぐにギュッて返して、好きだよって言いたい。


けれど……。


「離して…ください」


そっと彼の腕を押した。


私はあなたの傍にいちゃいけない。


「どうしてですか?
……遥さん」


びっくりするくらいに低い声。


でも、冷たい口調とは裏腹。


彼は私の耳に頭を寄せ、ますます強く抱きしめてきた。


そんなに強くギュッてされたら、心が揺らぎそうになる。


ダメだよ、こんなの……。


「沖田さんも見たでしょう?
池田屋で私が石の力を使ったとこ」