「貴様は、この男が誰かも知らずについていったのか?
呆れてものが言えんな」
「え、あの……」
どういうこと?
「この男の名は高杉晋作。
長州に仕えた市川家の者なら、知っているだろう?」
「たかすぎ…しんさく……」
それって……!
驚きのあまり、両手で口を覆う。
高杉晋作といえば、幕末に有名人を多数輩出した長州の中でも、1、2を争うほど有名な人。
幕府による長州征伐に、命がけのクーデターを起こし、長州を倒幕に導いたとか。
下関戦争の交渉で、日本を植民地にさせなかったとか。
数多くの伝説が現代まで伝わっている。
「まぁ本名は春風なんだけど、晋作って名が有名になっちゃってさ」
頭の後ろをかきながら、苦笑いする春風……いや、高杉さん。
けれども返す言葉が思いつかずに、呆然と立ち尽くしてしまう。

