遥か~新選組桜華伝~



今、石を投げてしまえば、拾うことはできなくなる。


そうすれば桜華石の力で、誰も死なずに済む。


例え未来に帰る道がなくなっちゃったとしても……。


もう……誰も傷つけないって決めたから。


覚悟を胸に刻み、瞳を開くと首の後ろで紐を外す。


桜華石を手のひらにとると、日差しが桜色をきらりと照らした。


けれど。


「あれ?」


石の色が薄くなってる?


前までは、石を透かしても見えなかったのに。


今は石を通して手のひらが見えている。


「気のせい……だよね?」


遥空に見つかる前に石を捨てなくちゃいけない。


こんなことを気にしている暇はないの。


石を強く握りなおすと、その手を振り上げる。


「えーーーい!!」