遥か~新選組桜華伝~



───悲しくて。


      悲しくて。


泣きすぎて、腫れたまぶたが重い。


でも、行かなきゃならない。


皆が巡察や稽古に行っている今なら、誰にも見つからずに、ここを抜け出せる。


早く、行かなきゃ。


ゆっくりと立ち上がり、ふらふらと屯所を出る。


外は青空で、泣き疲れた体に照り付ける日の光が眩しい。


時折吹き抜ける風から、夏の匂いがする。


私がここへ来たときはまだ雪が降っていた。


だけど木々は緑になり、歩いていく人は薄着。


もう季節も変わっちゃったんだな……。


そう思いながら大通りにでると、立ち並ぶ店と人々が見えた。


前に通ったときは桜の季節で、平助くんがお菓子屋さんに寄り道してたっけ。


2ヶ月しか経っていないのにすごく懐かしく感じる。