遥か~新選組桜華伝~


───ほんとは、ほんとうはね。


「一緒に…いれなくて、ごめん…ねっ」


───離れたくない、ずっと傍にいたい。


「……勝手に出て行った…こ…と、おこっ…ていいからっ。私のこと…忘れていいからっ」


───私のこと、忘れないでほしい。


「どうか……幸せになっ…て……」


ぎゅっと目を閉じると、振り返らずに、襖を閉じた。


刹那──、立っていることもできず、床に崩れ落ちた。



───ほんとは、ほんとうは私。






「好きだ…よ……っ。
離れたく……ないよっ」