遥か~新選組桜華伝~



───・・・


眠っているはずの沖田さんの方から、声が聞こえた。


前に進もうとした足が、ピタリと動かなくなる。


消えちゃいそうなくらい、小さな声だけど。


彼が呼んだのは、確かに私の名前だった。


「……っ」


肩が震えて、一度は止まったはずの涙が、また溢れてきた。


ダメだな私。


最後は笑顔でお別れしようって思ってたのに。


「うぅ…っく……」


離れたくなくなっちゃう。


ほんとは怖くて、一緒にいれなくなっちゃうのが寂しくて。


私───。


「沖田…さん……っ」