遥か~新選組桜華伝~



沖田…隊長…?


「もういい、この子は僕が預かる。お前達は早く任務に戻れ」


「は、はいっ!!!」


さっきまでの威勢が嘘のように、バタバタと走り去って行く男達。


私は呆然と見つめるしかできなかった。


というか、一歩も動けなかったんだ。


この美少年が放つ、恐ろしいほどの威圧感にー…


これが本物の侍と言うのだろうか。


新選組。


確か男達はそう名乗っていた。


もしかして…この人は……。


「あのっ」


「いきなりあんなことになって怖かったでしょう?
もう大丈夫です。怪我はありませんか?」


「え?」


心配そうな表情で手を差し出されて、拍子抜けた声が出てしまった。


私を見つめる彼の瞳が、別人のように優しかったから……。


「あ、首のところが切れちゃってますね。
ちょっと待ってください」