2階の最奥の部屋に入ると、遥が肩を抱きながら震えていた。


遥……!


駆け寄って、遥の両腕を強く掴んだ。


「急に池田屋が光ったと思ったら、中にいた長州の奴らが全員死んでいだ。

いったい何が起きたんだ!?」


「ゃあ…いやっいやだっ!」


問いかけても、遥は取り乱したまま何も答えない。


「聞こえてるのか、おい!」


腕を揺すっていると、ふと、畳に石が落ちていることに気がつく。


急いで手に取ると……


「桜華石……!」


この桜色は、嫌になるほど鮮明に覚えている。


遥との初対面。


この石が光って、俺は心臓発作で死にかけた。


遥空は、遥が桜華石に願えば…人を殺せると言っていた。


倒れている男達に致命傷は見られない。


「まさかこいつらは、石の力で……」


ポツリと呟いた、そのとき。


「土方さん!総司が、血ぃ吐いてる!」


後から上ってきた永倉が、総司の体を起こしながら叫んだ。