遥か~新選組桜華伝~


けれど……。


刀は振り下ろされることなく、代わりに胸に熱さを感じた。


え?


目を開けると、着物の胸部が明るく光っている。


この光は……


「桜華石……!」


取り出すと、手のひらの上で桜色の輝きを放つ。


幕末にタイムスリップした日に見たのと同じ。


石の力があれば、沖田さんを救えるかもしれない。


私にとって大きな希望にも思えた。


でも遥空の話によると、この力は………。


そこまで考えて、首を大きく横に振った。


ううん、今は迷っている暇なんてない!


一か八か!


「お願い…沖田さんを守って!!!!」


石を強く握りしめて叫んだ。