遥か~新選組桜華伝~



彼の優しさに想いがこみ上げて、涙が頬を伝っていく。


だから今度は……!


震えたままの手を、グッと握りしめる。


私が…沖田さんを守らなきゃ……!


精一杯の力をこめて立ち上がり、走った。


「なら…お望みどおり先に殺してやるよ!!!」


沖田さんの頭上、叫びながら、男が刀を振り上げる。


「……殺させないっ!」


必死に──二人の間に飛び込んだ。


「沖田さんは私が守る!」


沖田さんを背にかばうように両手を広げ、男を見据える。


「なに……!」


男が目を見開いた瞬間、私に振り下ろされる銀の刃。


斬られる!


思わずギュッと目を瞑る。