遥か~新選組桜華伝~



「土方副長!今のって!」


「あぁ」


土方は険しい顔で、池田屋の入口を睨んだ。


「あの馬鹿。何やってるんだよ……!」


唇を噛みしめるも、目の前には、まだ会津の侍達がいる。


「新選組の副長よ。
敵は長州だ。我々会津も、戦いに参加するべきだろう!」


土方は考えていた。


こいつらを中に入れたら、確実に新選組の手柄は取られる。


近藤さん達の戦いを、無駄にしないためにも俺は……


「もう戦いは終わる。
邪魔をするなら、テメェらも敵とみなして斬るぞ」


声を荒げながら刀の鞘に手をかけると、侍達は悔しそうに項垂れた。


幕府の偉い奴だろうと、誰だろうと……


絶対にここを通しはしない!