遥か~新選組桜華伝~


───・・・


闇夜の中。


春風は物影から、橋をかけていく遥の後姿を見届ける。


「悪いなっ。
のんびりしてると、俺も新選組に捕まっちまうからなっ」


頭の後ろに手を組むと、橋と逆方向に歩き出した。


「……そのまま捕まってしまえば良かったものを」


背中に聞こえた声に、振り返る。


「遥空っ!」


金色の髪を夜風になびかせながら、一人の男が立っていた。


「なんだ来てたのかっ!
俺が遥と仲良くしているのを見て、妬いてたのかっ?」


春風は人懐っこい笑みを浮かべ、遥空の肩に手を回す。


「馬鹿げたことを言うな。しばくぞ」


「はははっ!遥空は照れ屋だな~!この!この!」