「そんな警戒するなよ。
今はあいつとは関係ないし、おまえをどうこうする気もない」
「え?」
「俺は別の理由で京都に来て、偶然あの店にいただけなんだ。
だから、おまえもちゃんと池田屋に送り届ける!
心配なら、指切りしてもいいぞっ!」
そう言って、春風さんは小指を差し出してくる。
「は、はぁ……」
小指を絡めた手を、ブンブンと上下させながら、春風さんは笑った。
子供みたいな、あどけない笑顔。
その曇りのない瞳を見て思った。
きっとこの人は嘘をついていない。
笑顔一つで信じちゃう私って単純だな……。
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