遥か~新選組桜華伝~



「えっ!?」


思わず声を上げてしまった。


「ま、まぁ…あなたがついていれば大丈夫でしょう」


あっけにとられた様子で、亭主さんが答える。


亭主さんの知り合い?


外に出られるのはうれしいけど……


知らない人についていって大丈夫なんだろうか。


心の中で不安を巡らせているうちに。


「よし!そうと決まればさっそく行くぞっ!」


「え、あの……」


「ちゃんと連れてってやるから心配しなくていいぞ」


ちょ、ちょっと~!


強引に手を引かれて、あっという間に店を出てしまった。


夜闇の中。


男の人は私の手をひいたまま、振り返りもせずに歩いていく。


いったいどこへ連れて行く気なんだろう。


それより……


「あなたはいったい……!」


背中にむかって叫ぶと、男の人が足を止める。