遥か~新選組桜華伝~



男の人はゆっくり近づいてくると、私の前で足を止めた。


「この子が外に出るって言って聞かないんです。

外は新選組が出回ってるって言うのに!」


「ふーん……」


亭主さんの言葉を聞いて、男の人はじっと私を見下ろしてくる。


すっごい見られてるけど、誰なんだろう?


おそるおそる男の人の顔をうかがう。


「おまえは、どうしてそんなに急いでるん……」


問いかけながら、男の人は目を見開いて、動きを止めた。


「……?」


「はは、こりゃ面白い偶然だな!」


八重歯を見せて笑うと、男の人は亭主さんの方を向いた。


「こいつは、俺が責任を持って送り届ける。
それならいいだろ?」