遥か~新選組桜華伝~



この着物も、土方さんの策略。


家柄のいい町娘という、新選組とは違う立場の者に見せかけるためのもの。


土方さんの頭の良さを思い知らされると同時。


私のことを守ろうって強い思いが伝わってくる。


けれど。


「お願いです、離してくださいっ」


黙って守られてなんかいられないんだよ!


だって……。


沖田さんが…沖田さんが……!


「離してください……」


涙が頬を伝い、力なく腕を下ろした。


行かなきゃいけないのに……。


「なんだなんだー?」


陽気な声に顔を上げると、奥の間から、短髪の男の人が顔を覗かせていた。


「騒がしいと思ったら、亭主サマが女子を泣かせてるなんて。

こりゃ随分珍しい光景だな!」


切れ長の瞳を尖らせ、笑みを浮かべる。