遥か~新選組桜華伝~



けれども……


「沖田さん……」


この戦いの最中で、沖田さんは血を吐いて戦えなくなる。


労咳。


全然前触れもなかったのに……。


きっと今頃、沖田さんは苦しみながら戦っている。


「助けに…行かなきゃ!」


一秒でも早く、池田屋に。


なんとか立ち上がり、急いで外に出ようとすると、後ろから腕を掴まれた。


「今の話を聞いたでしょう。今は店を出るべきではない」


首を左右に振るのは、亭主のおじさんだった。


「でも私っ」


「新選組は恐ろしい集団だ。無関係な人でも、容赦なく斬り捨てる。

貴女はいいとこのお嬢さんとかだろう?

家の人に心配かけてはならないよ」


私の両肩に手を置いて、曇りない瞳で訴えてくる。