サダメが女であることを人の王は知っている。
セツナも知っている。
実のところコトワリも知っている。
知らないのは人と同族。
当事者は皆、この事実を知っていた。
ただ、人の王はコトワリが知っているということを知らない。
「セツナ、抱きしめて」
「私の前では許さない」
「死にぞこないは黙ってなよ」
「お前こそ、私の前でセツナを抱くことは許さない」
「動けないあんたに何言われても怖くないね」
「二人とも。わたくしはとても怒っています」
二人を制したセツナが二人を見た。
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