「いい加減、離しなさいよ!本気で怒るわよ!」

そう言って睨むも、相手はニヤニヤした表情のまま。

「…そんな可愛い顔で睨まれても全然怖くないよ?」
「煩い!離せ!」

掴まれた手を離そうと、何度も降ってみるが、振りほどけない。

周りから、好奇の眼差しで見られている。

見ているくらいなら、誰か助けてくれれば良いのに…

ズルズルと引きずられるように、連れていかれる私。

もう、諦めなきゃいけないのかな。

…意地張ってないで、司に連絡すれば良かった。

…グスッ。鼻をすすった時だった。

「…その汚い手を離せ」

私達の後ろから、低い男の声が聞こえた。

その声に私とナンパ男が振り返る。

「人の女に、手なんか出しやがって」

そう言った瞬間、私は手繰り寄せられた。