声のする方を見て、男子社員が顔を引きつらせた。

「…司に言ったんじゃないから、いいでしょ別に」

…イチャモンつけるのはやっぱり司だった。

「そんなもん、昨日のうちにしときゃいいんだよ。営業なら、時間の配分かんがえろよ」

「…だよな。ごめん朱莉ちゃん、自分で」

そう言いかけたところで、私は司を睨んで言った。

「いい加減にしなさいよ?いいよ、わたしやっとくから、早く外回り行って」

男子社員を強引に外回りに行かせた。

「…司もさっさと仕事すれば?」

椅子に腰掛けそう言う。

「…そんなだから、みんながお前に甘えんだよ」

「…いいよ。みんな頑張ってんだよ?私もみんなの手助けがしたいの」

「…男が勘違いするんだよ。中途半端な優しさは」
「…何?なんか言った?」

「…別に」

…司の言った言葉が聞こえなかった。

なんて言った?…ま、いっか。