フリージアとアスチルベ



「そっかぁ...那瑠は担任との恋か。」

「こ!?
そんなこと、出来るわけないよ...」


あのあと、先生は放送で呼び出され職員室に戻っていった。
途中まで一緒に行き、そのあとは逃げるように帰ってきた。

今は碧海の家で今日あったことを話してる。
碧海はきっと、東中出身の男の子と付き合うんだろうな...なんてただの勘だけど。


「青柳先生か...
副教科の先生だよね、確か。
数学も教えられるって聞いたけど。」

「...もうそんなに情報回ってるんだ。」


思わず不機嫌な声を漏らすと、碧海は私を見て笑った。


「どんだけ好きなの、先生...お兄ちゃんのこと。
イケメンだしね、敵は多いだろうから苦労するよ?」


そんなことわかってる、なんて思わず言い返したのは碧海の聞き方のせい。


「頑張って。
私は那瑠の恋を1番に応援するから。」

「...ありがと。」


こんなとき、碧海がいて良かったといつも感謝する。

絶対口にはしないけど。