「さ、悠ちゃん。夏祭りへいく準備はいいかな?」
「良くない」

何で裕美はこんなに元気なんだと思うくらいはしゃいでる。
ちゃっかり浴衣まで着て。

「まぁまぁ。今から行ってじゃんじゃん食べる。これ基本だよ」
「どんな基本だよ」

えへへ、と笑う彼女の顔は初めてあった時とは違う。
変わったんだ、俺も裕美も。

――――――大人になったんだ。

昔、裕美と行った神社はどうだったっけ。
一緒に過ごしたクリスマスは。誕生日は。正月は。

いろいろな思い出が頭をよぎる。

「悠ちゃん、ついたよ」

裕美の言葉でハッと我にかえる。
いかんいかん、ボーッとしてたら身体が持たない。

「そういえば裕美はりんご飴が好きだったよな」
「うん、よく覚えてたね」
「昔からの付き合いだしな」

俺たちは歩きながら話す。

「あっ、わたあめ。悠ちゃん買いに行こう」

そう言って笑う君は、
もう、俺のそばには居てくれないのかな。