「あれっ?この、隣の女の子だれ?」

久々に大掃除をしてみたら、懐かしいアルバムが出てきた。
ペラペラとめくっていると裕美が顔を覗かせた。

「この人はね、俺の..........初恋の人。」
「えっ!悠ちゃんの初恋の人、私じゃないんだ~!」

なんてな、実はこの人は
小百合って言う、3つ年上の従姉。

「何本気にしてんだよ~、この人...小百合は、従姉だよ」
「そうなんだ..!美人さんだねぇ」

そして、俺は小百合との思い出を語った。

小さいとき、俺は暴力に耐えられなくなって
家出をした。

「ぐずっ...ひっく...お母さぁん...」
「それじゃ、家出の意味ないよ?」
「小百合お姉ちゃん...」

母親が、小百合にしか俺を説得できないからって
連絡を入れたらしい。

「悠、お姉ちゃんもね、昔家出してお婆ちゃんの家に行ったの」

昔の俺は頑固で、意地っ張りのくせに泣き虫で、弱かった。
そんな俺を慰めるためなら、小百合は何時間でも俺の隣にいた。

勇気のない俺の背中を押してくれた。

俺の恩人。

「へぇ~、そうだったんだ。ちょっとヤキモチ。」

ムッとした顔で言う裕美。
はは、と笑って返すと、裕美も笑った。

今こうして、大好きな人の隣にいれるってことは、
小百合が背中を押してくれたおかげかもしれない。


(あながち、初恋の人って言うのは間違ってないのかもな...)


夏の想い出 番外編完