「裕美~、早いって。」

今日は、今年で一番の猛暑日だった。
汗が滝のように流れてくる。

「悠ちゃんが遅いからだよ~」

悠ちゃんとは俺の事。
こいつは昔からの付き合いの裕美。

今は海にきている訳で―――。

「あっ、みてみて悠ちゃん。カニがいる」

ぱぁっと効果音がつきそうな笑顔で裕美が言った。

「お前よく...平気だな」

暑くて言葉もつまってしまう。
なのに彼女は涼しげな顔でいる。

「何言ってるの悠ちゃん、夏だよ?楽しまなきゃ」
「あーハイハイ、そうかよ」

買ってきたスポーツドリンクを一口飲むと
太陽が眩しい空を見上げた。