人に危険な目に遭わせておいて黙って逃げるとはなんなんだ。もしあたっていたら死には至らなくてもかなり重症だ。


しかし、この時の僕には彼女を追いかけることは出来なかった。僕は誰とも必要以上に関わりたくなかったからだ。それは中学時代、友達にひどく傷つけられたことのある僕なりの誓いだった。


今思うとこれほど実現不可能な誓いは無いが、当時の僕は本気で誓っていた。


また、それ以外にもスーツケースを運ぶのに時間がかかったという物理的な理由もあった。