――毎日が平穏なら、それに越したことはない

辻本さんが言ったこのセリフがどれほど偉大だったのか、この時のわたしはまだ知らなかった。

そもそも、仕事でのご縁に恵まれますようにと願ったのが間違いだったと言うことに気づくべきだった。

「小腹が空いたからコンビニで肉まんでも買って食べるか?

俺が奢るから」

そう言った辻本さんに、
「おっ、いいねー」

内場さんが言った。

「ゴチになります。

あっ、わたしはピザまんがいいです」

わたしたちは笑いながら、近くのコンビニへと入って行った。

この1ヶ月後に、コールセンター史上最悪の大事件に巻き込まれることをわたしたちはまだ知らなかった。