とても静かだけれど、嫌いじゃない。 「気にしないでいい」 福嶋の目に私が見えた。 表情筋が次第に緩んでいくのが分かった。 「付き合います。もう決めたから」 それは、感情がすぐ表情に出てしまう厄介な癖。 「そ」 「うん」 「やるか」 「うん」 私は、この厄介者を知っている。 気付いたきっかけは覚えていないのだけれど。もうずっと昔から。