まるで、熟した林檎のような恋でした。





穴があったら入りたい。


肩をすぼめて縮こまる俺に、遥陽は口元を緩めた。



「まあ、俺もだけど」



ある意味、意志表明のような独白だった。


俯きかけた顔をすぐさま横に方向転換させる。



「お互い、頑張らねぇとな」


「ああ、頑張ろうな」



目を合わせて、互いにエールを送り合う。


そのエールは、前向きになる呪文。

強くなるために必要不可欠だ。




中庭まであとわずか。


なんとなく視線で窓の向こう側を仰ぐ。



「……あ」



2階の一角に、視線が留まった。



「小佐田……?」