俺に恋人ができたわけじゃない。
俺が失恋したわけじゃない。
でも……それでも、胸がきゅっとなる。
林檎の甘さに眩むだけ眩んで。
そのまま握り潰してしまったみたいな。
そんなあっけなさに、苦しくなる。
どうして、こうなっちゃうんだ。
ただこの4人でずっとバカやって、楽しく過ごしたかったのに。
関係は、日々変わり続ける。
悔しいほどに、淡々と。
「あ、おっ、俺!」
心地よい空気が壊れてしまわぬ前に、勢いよく立ち上がった。
気づいたら、焼肉弁当は空っぽになっていた。
「喉渇いたから、飲み物買ってくる!」
「じゃあついでに俺のも買ってきて~」
「パシる気かよ。まあいいけど。何がいいの?」
「コーラ!」
「了解」
碧のわがままも、今日は聞いてやろう。



