まるで、熟した林檎のような恋でした。






「……まあ、死ぬほど練習したからな」



ポツリ、切なそうに、懐かしむように。

またシュート体勢に入りつつ、呟いた。



投げられたボールは、リングに沿って回りながら、ネットをくぐった。



「俺もさ、中学の頃、好きな子に振り向いてほしくて、かっこいいところ見せようとしたんだよ。でも、俺よりすげーバスケがうまい奴がいてさ」



碧は、ゴール下にボールを取りに行った。ドリブルしながら戻ってくる。



へぇ、碧にもそんなことがあったのか。


その「好きな子」って、もしかして今の彼女さん……?



「そいつ、バスケだけじゃなくて恋のライバルでもあったんだ。だから、そいつよりもバスケがうまくなって、好きな子の意識を少しでもこっちに向けたくて……陰でめっちゃくちゃ練習してた」



ははっ、と乾いた笑顔をこぼして、俺を見据えた。


優しくパスされたボールを受け止める。




「だから、かな。今の幸を見てると、昔の自分を思い出して応援したくなるんだよ」


「碧……」


「好きな子に全然意識してもらえてねぇところとか、可哀相で可哀相で……」


「おい!!」



やめろ、傷をえぐるな!

人が考えないようにしてたところを……!