「憧れるよな」


「プレーは、な」



プレーだけかよ。

素直じゃねぇな。



苦笑する俺に、はぐらかすみたいに「ちょっと持ってて」と、抱えていたボールをパスしてきた。


碧は今日も左サイドを留めているヘアピンを直す。



軽くボールを弾ませていると、碧の視線がつ、と上にずらされた。



「お」



ギャラリーの端に注目したかと思えば、そこを顎で指した。俺にも見ろと示唆してくる。


何かあるのか?


指示通り、俺も見上げてみる。



「っ!!」



ピッシャーン!!

電流が走ったかのような感覚が、心臓を貫いた。