まるで、熟した林檎のような恋でした。






「りんご、そろそろ行こ。係の仕事、まだ残ってたよね?」


「あ、そうだった!」



土浦と小佐田は俺たちにペコリと頭を下げて、慌ただしく食堂をあとにした。


小佐田とあまり会話できていないのに、幸福感で満ちている。




「後半、見つめてただけだったな」



2人がいなくなって、俺が食器を片付けていると、碧が俺の肩をポンと叩いた。


ギクリ。

気づいてやがったのか。



「このヘタレさんめ」

「うっせーよ」


ちゃんと自覚してますぅー。



「やっぱ、もうちょい頑張らねぇと、両思いなんて夢のまた夢だぜ?」



うっ……。

痛いところを突かれ、黙ってしまう。



「両思い、なりてぇだろ?俺と瑛美みたいにラブラブになりてぇだろ?」



さりげなく惚気挟んでくる。わざと自慢してる気がしてならない。ひどい奴だ。



両思いにはなりたいけど。ラブラブにもなりたいけど!


それを言葉にするのは妙に照れ臭くって、無意味に唇を尖らせた。