まるで、熟した林檎のような恋でした。




え?


やや下に固定されていた視界に、口元に手を添えて微笑む小佐田が、鮮明に映る。



わ、笑われた!?


ガーン、という効果音が脳内で鳴る。



地味に悲しんでいる俺に一切気づいていないであろう小佐田は、上目遣いで俺を見据える。

ほんのり桜色に色づく顔を、ふわりと咲かせて、囁く。



「更科先輩、面白いですね」



甘い香りを羽織った、優しい声。



笑われてショックだとか、そんな憂鬱をも侵食して、恐竜も顔負けの大きさに「好き」が変身していく。



――惚れたもの負け。

そう、誰かが言っていたっけ。


確かにその通りだ。



きみが相手なら、試合開始してすぐに、降参の白旗を振るよ。


一目惚れした時点で、俺の負けは決まっていた。


こっちが勝手に振り回されてること、きみには知る由もない。そういうところさえも、愛おしくなってしまうんだ。




負けで、いい。

きみに敵わなくたって、悔しくはないよ。