まるで、熟した林檎のような恋でした。





もしかして、その男子とやらは、俺のことか?


ニヤニヤしてるところから鑑みるに……やっぱりそうだろ、遠回しにからかってるだろ。コノヤロー。



「そんなことないですよー」

「かっ、可愛くないです!!」


言われ慣れているのか、軽く流す土浦とは相反して、小佐田はかあっ!と赤面した。



……キュンてした。


そうやって全力で否定するところも可愛いなあ。



つられて俺も赤らんでしまわぬよう、心の中で南無阿弥陀仏を唱える。効果があったかはわからない。




「芹沢先輩のほうが可愛いですよ」


「えー?さっきの『かっこいい』は嘘だったってこと?」


「あれも本当です。かっこよくて、可愛いなぁって思ったんです」



土浦の対応力も、碧のコミュ力も、どちらも俺には無いもので羨ましい。


俺も2人みたいな性格だったら、好きな子との関係を進展させられたのだろうか。



2人の親しげな会話を片耳に、伏し目がちに小佐田を一瞥してみる。ヘタレな俺にできるのは、この程度だ。


不意に小佐田もこちらを捉えた。



ドキリ、と心臓が大きく飛び跳ねたのは、もう仕方がない。