ちょうどいいスピードで、ボールが返ってきた。
碧の眼は、未だに、何かあるのではと探っている。
あいつ、面白がってないか?
「ほんとに違ぇからな?」
念を押してパスしたら、返事の代わりにパシッといい音でキャッチされた。
「じゃあ何なんだよ」
「そ、それは……」
ダンッ、ダンッ、と碧がボールを床に突く。
既に見透かされているようで、羞恥が沈んでいった。
もし相手が要だったら簡単に引き下がっただろうし、遥陽だったら「今度な」と待ってくれるだろう。
……だが、残念ながら、碧はどちらも当てはまらない。興味津々にグイグイ聞いてくる。
碧じゃなかったら、適当にあしらってるところだ。
碧がドリブルをやめて、またボールを両手にセットする。勢いよく指先で飛ばした。
「昨日、す、好きな子と話せたことを、思い出してたんだよ!!」
半ばやけくそ気味に打ち明けた。
ボールも、今度はちゃんとキャッチできている。



