まるで、熟した林檎のような恋でした。





初めて感じる、忙しない気持ちに不安や心配を覚える。


けれど、俺は、笑っていた。



まだはっきりとは理解してはいないけど、なんとなくわかるんだ。


きっとこの想いは、俺にとって大切なものなんだって。




「はあ~~」



2度目のため息は、最初のため息よりも長く、重い。


何かに疲れたとか、辛いことがあったとか、そういうのじゃなくて。



ため息をつくと幸せが逃げる。

そんな迷信を覆すほど、いいことがありすぎて幸せだなあ、としみじみ思ってるため息だ。



こんなにいいことがあったら、また期待してしまう。これからもっといいことがあるんじゃないか、って。




……これじゃあ、本当に乙女じゃん、今の俺。


きっと碧が見たら、大笑いされるんだろうな。




「ただいま戻りました!」


「おかえり。ゴミ出しありがとな」



戻ってきた小佐田に格好悪いところは見せたくなくて、急いでホウキを持つ手を動かし出す。


小佐田もホウキを両手で持って、作業を再開する。