まるで、熟した林檎のような恋でした。





不意に、視線を落とす。


視界の隅に、カーディガンから覗く小さな手が映った。



……手、握りたいな。



サッと何ごともないように握れれば、不自然じゃねぇよな?できるかな?


自然に……さらっとするっと……。



よし行け、更科幸!!



勇気を振り絞って、りんごちゃんの左手に自分の右手を伸ばす。


が、



「更科先輩!あっちに……」



りんごちゃんの手は、見事に俺の手をかわし、近くの教室を指差した。



あ、あとちょっとだったのに、失敗した。俺、ダサ……。


結構ショックを受けてる俺に気づき、りんごちゃんは頬をわずかに赤らめた。



視線を右往左往させ、俺がしようとしたことを、代わりにりんごちゃんが「えいっ」と行動した。