……う、うわあああっ!

もう限界だ!!



自分から啄【ツイバ】んだくせして、恥ずかしさに耐えられなくなった。



片手で顔面を覆い隠そうとする。


直前、りんごちゃんが背伸びをした。



チュッ。

左の頬に、リップ音付きのキスが落とされた。



ぅえ?き、キスされた!?

やばい。心臓がやばい!




「私のほうこそ、ありがとうございます」



上目遣いで俺を見据えながら、幼い子どもみたいにはにかんだ。


その姿は、なんとなく、昔一緒に絵本を読んだ女の子に似ていた。



「更科先輩と出会えて、よかったです」




ほら、また。

「好き」が募った。



きみは、どれだけ俺をトリコにすれば、気が済むの?


あと何回この一途な想いを伝えたって、丸ごと全部は伝わりきらないんだろうな。




それでも……いや、だからこそ。


これから一緒に、同じ幸せをわかち合いたい。






――きみと出会えたから、“今”がある。