まるで、熟した林檎のような恋でした。





きっと、こういうのを「うれし涙」って言うんだろう。



「嬉しいからだよ」



嬉しくて、苦しい。

だけど、この苦しさなら、いつまでだって耐えられる。



りんごちゃんの手が、おもむろに俺のほうに伸びてくる。


頬に触れる直前で、届かずに、静止した。



「諦めたかったけど、諦めきれなかった」



だから、自分から、距離を詰めた。


背中を丸めて、華奢な手を片方の手のひらで包み込む。



ピクリ、と指先が固まったのがわかって、表情が緩んだ。




「意識して、って言われなくても、もうとっくに意識してる」



手をグイッと強く、優しく引っ張った。


胸板に、赤らんだ頬が当たった。



距離が、今、0になる。