「私が、好きなのは……」 途中から震え出した声が、消え入る。 きゅっ、とカーディガンの袖ごと握り締めて、拳を作った。 「……りんご、ちゃん?」 不意に、隙間風がそよぐ。 甘い香りを乗せて、明るい茶色の細い髪がなびいた。 「私が、本当に好きな人は、」 白い肌を侵食する、赤。 泣くのを我慢するみたいに、あどけなく歪む。 呼吸が正常に整っていくにつれ、火照りは広がっていった。 「更科先輩、あなたです」 耳を、疑った。 あなた? 誰? ……俺? えっ、俺!?