まるで、熟した林檎のような恋でした。





「幸には、前に話したろ?」



前?

頭を斜めに沈めれば、碧は淡々と喋り出す。



「ほら、俺が中学の時にさ、好きな子のためにこっそりシュート練習したり、好きな子がストーカーされて腹が立ったりしたって」


「あ、ああ、そのことか」



それなら、確かに聞いた。


てっきり、その『好きな子』が今の彼女さんなんだと考えていたけど……。



「その好きな子っていうのが、初恋の子」


「そうだったのか」


「見事に振られちゃったけどなー」



あははっ、と陽気に笑い飛ばす。


……って、え?そんな笑うことなのか?



笑い声がだんだんしぼんでいって、穏やかな微笑みに変わる。



「でもそのおかげで、瑛美と付き合えた。瑛美のこと、大好きになった」