まるで、熟した林檎のような恋でした。





恋に堕【オ】ちたら、元の場所には戻せない。


一直線に、真っ逆さま。


底なんかない。真下へ溺れていくだけ。




失恋しても、次また新しい恋がある。

そうよく言うけど、そんなの当分なくていい。



パキッと割れてしまった初恋だけで、今はまだ、いっぱいいっぱいだ。




「元気がねぇなら、しゃーねぇ、デザートに食べようと思ってたシュークリームを……」



やろう、と続くはずだった語尾に、誰かのスマホの通知音が重なった。


どうやら碧のだったらしく、ポケットからスマホを取り出す。


画面に表示された通知に、パアッと明るくなった。



「瑛美からメールだっ」


「……遠回しにいじめてんのか」


「ち、ちげーって!」



思わず、皮肉げなため息を吐いてしまった。