まるで言霊みたく、口にしたら全部消えちまえばいいのにな。



「……そう、か。言ったのか」


「ああ」



一番に反応してくれたのは、意外にも遥陽だった。


自嘲的な笑みを浮かべる俺に、遥陽は眉をひそめた。



「幸、お前本当に……」


「俺はさー!」



来た、空気を読まない男。

でかい声でばっさりぶった切った碧が、わざわざ俺の隣にすり寄ってきた。



おい。遥陽が何か言いかけてたのに、お前のせいで聞けなかったじゃねぇか。


しかも張本人は全く自覚してねぇし。


さすがというか、なんというか。




俺の背中に腕を回し、ポンポンと叩く。



「幸はすっげー頑張ったと思うぜ?」


「俺も思う!自分から告白したりデートに誘ったりしてたし!」


「そーそー。ヘタレなくせにな?」


「幸なりに一生懸命頑張ってた!かっこよかったぜ!」


「たまに不器用さがダダ洩れしてたけどな~」



碧とは反対側の位置にいる要も、同意して、慰めてくれた。


……だけど、こら、碧。お前は「ヘタレ」とか「不器用」とか、慰める気あんのか?